浅田作品

December 12, 2009

「月下の恋人」・「つばさよつばさ」

 2回連続で、記事カテゴリーが浅田作品になってしまいましたが、まあ、大好きな作家さんなので、大目に見てやって下さい笑。




 

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 今回読んだのは、「月下の恋人」(光文社文庫刊)で、11篇が収められている短編集です。今回は、どの作品も、作中の謎を読者の想像力に任せたままで、最後まで分からないまま閉じてしまうという、不思議な余韻を残す作品集となっています。




 最もその傾向が顕著なのは、「黒い森」でしょうか。ストーリーとしては・・・

 海外勤務から10年振りに帰国した男性課長。復帰した本社の職場で、ある女性と知り合い、そのまま結婚するのですが、その事実を知った周りの人間たちは、皆こぞって、男性と関わりを避けようとする。終いには、会社での役員会議の議題にまでなってしまう。でも、何故、そんな反応を周囲が示すのか。その女性は、一体何者なのか。どんな過去を背負っていて、どんな恐ろしいことが待っているのか、誰も絶対に教えてくれない。どんどん不安が増す男性。ついには、せっかく田舎から上京してきた男性の母親までが、「ともかく別れなさい。命が幾つあっても足りなくなる。恐ろしくて、あの女性とは一緒にいたくない」とまで言って、早々に男性の家を出てしまう。しかし、最後まで、男性と読者は、その女性の謎が一体何なのか、分からずに終わる・・・。



 うあ~気になる。何だ、この物語の引き具合は!!この女性の謎は一体何なのだ・・・。乏しい私の想像力では、思い付かないのですよ・・・。あああ、答えを知りたい。






 とまあ、こんな感じで、他の10篇も不思議な余韻を残したまま、閉じてしまうのです。どうです??気になるでしょう??





 そんな中で、とある1篇の主人公の名前が、偶々、私と同じ名前だったのです。過去にも、自分の名前が小説の主人公と一緒だったことはあるかもしれないけど、記憶に残ってない。とにかく、浅田作品では初めてです。初読時は、ちょっと、ドキッとしました。自分の名前だけに、小説の中の主人公には、妙な親近感が湧くものです笑。

 で、またその1篇が非常に良い話なんですよ。不器用な優しさというか、ほろりとさせられてしまうのです。自分の名前と同じという贔屓分をちゃんと差し引いて、11篇を公平に見ても、この短編集では、その作品が一番好きですね。





 その前は、「つばさよつばさ」(小学館文庫刊)を読みました。

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 この作品は、JAL機内誌『SKYWARD』に連載されていた、旅が主テーマのエッセイ集です。これがまた、とても面白い!!重量感はなく、簡単に書かれている様でいて、良く読めば読む程、おかしみや人情、時には切なさまで感じられる、味わい深い面白さなんです。こういう文章を、書ける様になりたいものです。

 私の一押しは、「とっておきの料理」でしょうか。描かれている場面を想像するだけで、1人で笑えてしまいます。通勤中の電車の中で、危うくアブナイ人になるところでした笑。とても面白いです。


 あ~話が急に変わるけれど、旅をテーマにしたエッセイなんかを読んでいたら、旅がしたくなりました笑。ん~海外旅行に行きたい!まだ見ぬ世界遺産が、私を呼んでいる・・・笑。

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December 06, 2009

普通のNHKだったなら

 ネットで、こんなニュースを見ました!







 「作家・浅田次郎が中国を舞台に書いた歴史長編小説をドラマ化」






 

 ・・・何と!!ま、まさか・・・あの小説では・・・







 と、目が釘付けになり、そのままその記事が掲載されているサイトにアクセスしてしまいました。すると、思った通り・・・







 「蒼穹の昴」がNHK衛星ハイビジョンで、ドラマ化されるというじゃありませんか!!この小説は、中国清末、激動の時代を舞台にして、歴史上の登場人物を交えながら、片や官僚トップ、片や宦官トップという2人の若者の生き様を描いた壮大なスケールの小説なのです。とても面白い小説でした。これが、ドラマ化されるのか~・・・素晴らしい・・・めっちゃ見たい・・・。物凄く見たい。だって、日中合作ですよ?!「中国で実寸大の紫禁城など巨大セットを組んだ」そうですよ?!・・・あ~見たい。







 

 このドラマは、NHK衛星ハイビジョンで、来年1月2日から、毎週土曜夜10時に放送されるということなのですが、非常に残念なことに、我が家は衛星ハイビジョンを見ることが出来ないのですよ・・・涙。ああ、残念だ。残念過ぎる・・・。DVD化されたら、見てみようかなあ。ちなみに、ドラマ化の記事はこちら。興味がある方は、ご覧下さい!小説は、勿論オススメです。


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November 09, 2008

読書タイム再開

 ここ数日で、急に寒さが増した様な気がしています。う~寒い。今年も冷えるなあ。






 例の試験が終わったので、勉強に当てていた通勤時間に、読書を再開しました。その時間に英語を勉強しようかなとも思ったのですが、朝から苦手な英語だと一日中気が滅入りそうだったので笑、好きな本を読んでリラックスすることにしました。前日が終電でも、翌日、好きな本を読んでいると不思議と気分が楽なんです。一種の現実逃避か笑?!







 ジャンルを問わず・・・と思いつつ、最初に手を出したのは、やっぱり浅田次郎!読んだ作品は、義賊ものの「天切り松」シリーズの最新巻です。浅田作品の中でも、このシリーズは大好きです。登場人物たちの生き様・心意気がまた格好良いんですよ。シリーズは完結していないので、早く続きが読みたいなと続編を心待ちにしています。








 今週、3~4日間程度で一気に読んでしまったのが、東野圭吾作の「容疑者Xの献身」。もう何年も前に出版されて直木賞を受賞した作品でしたが、この度、ようやく文庫化されたので、今になって初めて読みました。感想・・・面白かった!という陳腐な言葉しか出てこないんですが、続きが気になって気になって。眠い目こすって、通勤中に読んでいました。この作品の舞台が、非常に身近なので、より親近感が湧いたのかも・・・。







 手元には、あと3冊ストックがあります。内容はちょっと固めの本。久々に、頭でも使ってみようかなと思います。やっぱり、読書は良いですね。あとの問題は、どこに本をしまうかなんだけど・・・そろそろ、本棚が厳しいやも。

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June 08, 2008

「地下鉄に乗って」


 今日は!!


 2006年に映画化されていた浅田次郎氏原作の「地下鉄に乗って」が、夜9時からテレビ放送されていたので、思わず最初から最後まで見てしまいました。いや~原作の素晴らしさを知っている者としては、色々と他にも映像化して欲しい場面もあったのですが、結構素直に楽しめました。そして、「やっぱり良い小説よね」、「やっぱり浅田さんの作品が好きだなあ」と思いながらの2時間でした。うんうん、やっぱり面白い!





 「地下鉄に乗って」を読んだのは、丁度、就活をしていた大学4年の4月です。だから、今からもう2年も前になるんですね。さっき、気になって当時のブログをさらっと読んでみたのですが、何だかとても懐かしかったです。当時は当時で、色々悩みながら就活していたんだなあと思うと、不思議な感じがします。自分の本質はちっとも変わってないのだなと笑。あと、大学の授業の話が書かれていると、か~な~り、懐かしいですね。良いなあ~大学生をもう1回やりたい!!







 久々に、懐かしいブログの記事を読みました。こうして振り返ってみると、少しずつでも、ブログを書き続けてきて良かったなと思いました。自分にとっては、貴重な記録ですね。「地下鉄に乗って」では、主人公がタイムスリップをします。現実には、タイムスリップなんて出来ないけれど、過去のブログを読むことで、当時の気分を思い出すことが出来る。そして、また前へ進む新たな力をもらえる。だから、これから先も、出来る限りブログを更新して行こうと思います!




 さ、私もまた明日から、地下鉄に乗って出勤してきますsubway


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September 09, 2007

前半は

 え~と。

 予告通り、バッチリ2時間ドラマを見てきました。「輪違屋糸里」の物語の筋は知ってるので、次はこうなるだろうなあ~とか思いながら見ていました。





 NHKの大河ドラマでの新撰組の面々のキャスティングのイメージが強い人もいるみたいなんですけど、私は、そちらを見ていなかった為、割と抵抗感なく、すんなりと見ていました。個人的には、平間重助役の温水洋一さんは、適役だったと確信しています。自分のイメージにはピッタリ!!






 ドラマの筋自体はですね・・・やっぱり、前半・後半併せても4時間しかないので、物語の展開が早いなあと思いながら見ていました。私は原作を知っているので、登場人物の相関関係や人物名、事件などは分かりましたが、初めて見る人、特に新撰組について何も知らない人が見たら、展開についていけなかったんじゃないかと思いました。一応、メインとなるところは映像化されてましたが、数多くいる登場人物の心の細かな変遷は、やっぱり全部表現するのは難しいのだろうなあ。前川・八木両家のおかみさんは、もっと重要な役割を担っていると思うし。






 ドラマ化されて良かったのは、島原の様子が映像化されたこと。京の艶やかな様子が映し出されたのは良かった!物語に色を付けられるのは、映像化の特権ではないでしょうか!ただ、所々入るCGはイマイチだった気がします。一長一短ですね。





 さて・・・


 とりあえず、前半を見てしまったので、後半も見てみようと思います。後半もちゃんと見て、完結させたいし!録画の予約をしておきました。原作の面白さを、是非、後半のドラマで伝えて欲しいなあと思います。





 

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September 08, 2007

明日の夜9時は!

 最近、ちっともテレビを見なくなりました。いや、正確に言うなら、テレビを見る時間がなくなりました。平日の視聴時間は、ほぼゼロですね。見たい番組もこれといってないし、テレビを見るぐらいなら、睡眠欲がはるかに凌駕します。元々、ドラマもあんまり見ないし、テレビ依存症ではないので、不自由はしてないですけどね。流石に、台風情報は噛り付いてチェックしましたけど!





 そんなテレビと縁薄い生活を送ってきましたが・・・!!!!






 明日は!明日の夜9時からは!テレビの前に陣取ります。2時間続けて、珍しくドラマを見ます!前から、楽しみにしていたんですよ~。ついに、明日夜9時放映なのです。その名も・・・








     「輪違屋糸里~女たちの新撰組」







 浅田次郎氏原作の、「輪違屋糸里」がテレビドラマ化されて、TBS系列で、何と2夜連続放送です!!これはね~見るしかないね!!






 この小説も非常に面白かったので、映像化されたらどんな風になるだろうと、今からとても楽しみです。ま~巷の噂では、キャスティングに不満がある人も無い人もいるみたいで、前評判も色々あるみたいですが・・・、個人的には原作が好きなので、見てみようと思っています。






 2夜連続放送ということで、2日目は月曜日の晩です。これはリアルタイムでは到底見ることが出来ないので、録画予約をして、出勤するつもりです。今のところはね。明日、つまらなかったら予約しないだろうな笑。





 何はともあれ!!ご興味ある方、明日の夜9時は、TBS系列でお願いします。決して、TBSの関係者ではありませんが、今日は、宣伝させて頂きます笑!

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July 21, 2007

沙高樓綺譚

 

 今週は、中々更新することが出来ませんでしたが、その間にも、着々と「浅田作品」を呼んでおりました。少し前に読み終えたのは、「沙高樓綺譚」(徳間文庫)です。

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 「沙高樓綺譚」は、青山墓地のほとりにある高級マンションの最上階で、女装のオーナーの下、各界の名士たちが集い、他人には決して話すことの出来ない「秘密」を夜中に語り合うという、短編集です。

お話しになられる方は、誇張や飾りを申されますな。お聞きになった方は、夢にも他言なさいますな。あるべきようを語り、巌のように胸に蔵うことが、この会合の掟なのです――』

 オーナーの話す、これが、この秘密の会合のルール。このルールの下、今宵も不思議な話が始まるのです。

 歴史物・人情物・エッセーなど、これまでに読んできた浅田作品とは一味異なり、珍しくミステリー的な趣が強い作品です。時代設定も、現代ですしね。この本も、とても面白かったです。

 この本を読んで改めて思ったのは、「浅田次郎」という作家のテリトリーの広さ・深さです。この短編集形式で語られた「各界の名士」たちの話は、分野が多岐に渡るんです。

 第1話は、「刀剣の鑑定」の話。刀剣について、かなり詳しく書かれており、作家本人に相当の知識がなければ、とても描くことは出来ません。  

 第2話は、精神科医の視点から語る幼馴染との不可思議な縁の話。

 第3話は、「映画撮影中に現れたエキストラ」の話。戦後すぐの京都・太秦を舞台にしているし、新撰組が絡んできます。幕末期・戦後すぐの太秦・現代と、時代を3つ繋いだ展開力が凄いですね。

 第4話は、「ガーデニング」の話。気候・植物の種類も非常に専門的に描かれています。そして、舞台設定は、明治期が絡んできます。

 第5話は、浅田さんの得意とする「任侠」ものです。これは、もう王道な感じがします。

 どの話も、確かに何処かがミステリー。でも、そのミステリーさも、「人間」だからこそ、起きるミステリーになる気がするんですよね。「不可思議」とか、「運命」というものではなくて、「人間」だからこそのミステリー。そこが、「浅田次郎」らしいところです。

 浅田次郎の他の作品を色々読んでから、この作品を読んだのですが、他の作品と通じるところがあって、興味深かったです。この部分は、あの作品と繋がってるなあとか。いや~、相変わらず、どっぷり嵌っていますね。

 次に読んだ本も、やはり「浅田作品」なのですが、それはシリーズ物で、最高に面白いです!舞台は大正。活躍するのは、個性豊かな「義賊」の一家!既に1巻は読み終えたのですが、かなり気に入っています。怪盗・アルセーヌ=ルパンが大好きな私としては、物凄く楽しいです☆「粋」で「情」に厚い彼らの活躍は、近々ご報告したいと思います!

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July 01, 2007

「輪違屋糸里」

  9784167646066

 この度、読み終えたのは「輪違屋糸里」(文春文庫)です。以前、読み終えた「壬生義士伝」の続き物ということで、面白さに期待を抱きながら読み始めました。「壬生義士伝」は、新撰組がバラバラに散っていく、戊辰戦争以降の幕末期が舞台でしたが、今回の「輪違屋糸里」は、新撰組が京都に着たばかりで、台頭し始める前の初期の頃が舞台となっております。

  幕末期の時代設定をろく知らぬまま読み始めた壬生義士伝と違って、今回は、一応、学習効果があったらしく、割とスムーズに作品に入ることが出来ました。ただ、今回の主役は、本の表紙からも分かるように、「新撰組」ではないのです!「芸妓」さんが、主役なのです。芸妓さんの独特の世界や、そのしきたりなどを知らなかったので、最初はそれに慣れるのに時間掛かりました。日本の文化で知らないことはまだまだ沢山あるんだなあ。

 今作品は、「芸妓」さんが主役だと書きましたが、正確には、「女性」が本筋なんです。「輪違屋糸里」に出てくる女性達は、芸妓さん・新撰組の屯所となってしまった壬生の屋敷の妻たち・江戸から京へ流れてきた女性など、数人います。彼女たちの視点から見た新撰組の姿が描かれ、物語は進んで行きます。

 身分に縛られ、時代に流され、伝統に固められ・・・。背負ってきた過去は違うはずなのに、様々な因果に導かれ、京で出会った新撰組の男達とそれに関る女達。・・・全く違うようでいて、似たもの同士だった訳です。

 「芹沢鴨暗殺」という副テーマがあって、それが作品のクライマックス。盛り上がり所は最初から分かっているのですが、そのクライマックスに到るまでの流れが秀逸!手の内が読めそうで、簡単には読ませてくれない。クライマックスまで長いのに、飽きさせない。・・・こういう筋道の流れの良さが、浅田次郎の真骨頂だと思うんですよね。毎回、彼の作品を読むたびにそう思います。

 ラストシーンは、非常に、浅田次郎らしい終わり方でした。どこかで、物語の最初と最後が繋がっているというか、作品の終わりは終わりじゃなくて、現実の世界、つまり現在まで繋がっているというか。最近では、こういう終わり方なんだろうなあと、ちょっとだけ予想できるようになりました笑。う~ん、浅田さんの作品、大好きなんだよねえ。

 そうそう。6月23日に、映画「憑神」が公開されました!そして、11月には、もう1本、浅田次郎さんの原作で映画化される作品があります。「オリヲン座からの招待状」という作品です。5ヶ月先の話なんですが、これも是非見に行きたいものです☆11月かあ・・・一体、何してるんだろうなあ。

 

 今日から、7月ですね。皆様、夏バテに気を付けながら、長い夏を乗り切っていきましょう!「夏」・・・暑いけれど、素敵な夏にしたいなあ。 

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June 07, 2007

「憑神」

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 今日読み終わったのは、浅田次郎作の「憑神」(新潮文庫)です。この小説は、6月23日に映画が公開されるという、話題作であります!「浅田次郎の作品=面白い」という公式が、既に成り立ってしまっている私の頭の中ですが、それをリセットしても、やっぱり、今作も期待に違わず面白かったです。


 前回読み終えた「壬生義士伝」は、内容が割と重かった。最初から悲劇的なストーリー展開だし、挿入されるエピソードの数々も涙ものです。重厚な歴史小説でした。それに比べると、「憑神」は「笑い」の要素があって、ある意味安心して読むことが出来ました。ページ数も、憑神は、壬生義士伝の半分以下の約360ページしかないので、読みやすかったです。同じ幕末期、しかも両方の作品に鳥羽伏見の戦いが出てくるのですが、二つの作品は違った趣を出しています。どちらも良かった!


 「憑神」は、ある夜、主人公のイージーミスで、とある「神」が主人公にとり憑いてしまい、その神様と周りの人間と時代とが絡み合って物語が進んで行きます。「神」は「神」でも、貧乏神だって言うからには、主人公は必死で抗います。やっとのことで貧乏神を振り払うと、今度は次の「神」が憑いて・・・。


 この作品に限らず、浅田さんの作品には、いつも幾つかの筋があります。今回は、「人が懸命に生きる」という大義に、幕末期の混乱し逼迫した情勢が背景にあり、江戸の武士・町人たちの人情が並行して進んでいきます。こうした主題と伏線とのバランスが、読んでいて上手だなあといつも思うのです。話が面白いから、どんどん読み進めてしまうけれど、その物語の言わんとするところは、実はかなり奥深いものだと、後からじわじわと実感します。


 最後のシーンで、主人公が、登場人物の1人に「おまえ様は何と恰好よい」と言われるのですが、私も、読みながら恰好良いと思いましたね。運命とか神に決められた道ではなくて、自分が命を懸けて決めた道を行く主人公は、誰にも増して良い顔をしてたんだろうなと思いました。私も、そんな顔が出来る人間でありたいと思います。


 これで、映画の原作を読み終えました!予習はバッチリです☆映画のキャスティングも中々良いし、早く見に行きたいです。きっと、恰好良い侍をスクリーンの中で見れるでしょう!


 

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June 02, 2007

壬生義士伝

今回読み終えたのは、浅田次郎の「新撰組」を主題とした小説「壬生義士伝」(文春文庫)です。これも例に漏れず、非常に読み応えのある小説でした。


 私は歴史小説が好きなのですが、特に、世界史を主題とした小説が好きです。日本史なら、これまでに読んだ作品は、近現代を主題にした小説がほとんどでした。だから、今回の「壬生義士伝」の様に、近世末期の日本を描いた小説は、かなり久し振りです。下手すれば、中学生の頃に読んだ山本周五郎の作品以来かもしれません!だから、この本は時代設定からして、私には新鮮でした。


 歴史は大好きですが、高校で日本史を履修しなかった私は、近世末期に関して曖昧な知識しか持ってなくて・・・この本を読み始めた当初は、時代背景を理解するのに時間が掛かりました。それをクリアして読み進んでいくと、歴史の勉強になりました。


 さらに、「新撰組」について、私は、今まで一度も本を読んだことがありませんでした。新撰組とは一体何なのか。どんな登場人物がいて、どんな役割を果たしていたのか。まず、そこから理解しないといけなかった。そうじゃないと、この物語の醍醐味は絶対に理解出来ないと思います。いや~今まで、新撰組を知らずに生きてきたなんて、何て勿体無いことをしてきたんだ!NHKの大河ドラマになったり、日本人から未だに人気を集める理由がよく分かりました。


 この物語は、鳥羽伏見の戦いで破れた侍が、大坂にある自分の藩の蔵屋敷に落ちていく描写から始まります。そして、その侍が何故、新撰組に入ったのか。新撰組でどんな行いをしたのか。その愚直なまでの真っ正直な生涯を、様々な視点で紡ぐ物語です。その物語形式に、強い特徴があります。


 小説の冒頭は、作者による時代描写。それ以降の章は、登場人物による「語り」形式となっています。例えば、ある章は侍の独り言。その次の章は、酒屋の親父さんの語り。また次の章は侍の独り言。次の章は、元新撰組の隊士の語り・・・と、章毎に人物が入れ替わるんです。だから、話し手の視点と口調で物語は進んでいく。そして、聞き手=新聞記者=読者という構図になっています。これがね~、非常に巧い!!


 登場人物による語りなので、その人物の立場になって、想像しながら読み進むことが出来ます。これは、臨場感を醸し出してくれましたね。また、感情移入しやすいんです。読みながら、何度もらい泣きしそうになったことやら!電車の中で、泣くのを我慢する場面が多々ありました。浅田さん・・・小説の構成が巧いです。


 ただ、文中で使用されている言葉が難しい!普通に、日本語の勉強でした笑。武士の服装などの専門用語もあるし、方言もある。慣れてしまえば何てことはないんですけどね。小説の一番最後に至っては、漢文の知識も要します。読みにくいけど、それがまた、クライマックスに相応しい演出であるから、頑張って読んでしまった笑。


 ・・・という訳で、「壬生義士伝」も非常に面白い小説でした。久々の近世末期の小説でしたが、この時代にかなり興味をそそられました。新撰組についても、もっと深く知りたくなりましたしね!同じく浅田次郎さんの作品で、この度ドラマ化が決定した「輪違屋糸里」という小説があります。これも、新撰組が主題の小説です!これも、絶対に読もうと思います。・・・というか、既に購入してしまいました笑。

 
 で、「輪違屋糸里」を続けて読もうと思ったのですが、先に、たんけんさんからオススメされた「憑神」を読み始めています。まだ、最初の部分しか読んでいないけれど、これもまた面白いですね~!「憑神」も幕末期のお話ですが、「壬生義士伝」と比べるとテンポが良くて、話の感じも明るいです。同じ「面白い」でも、「ユーモラス」の意味合いが強い「面白い」だと感じています。まあ、まだ最初の部分しか読んでいないけれど、この先の展開が楽しみです。そして、これは、今月下旬に映画公開です!浅田次郎ファンとして、これは是が非でも見に行きたいと思っています!


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