トリノ・エジプト展
土曜日は、上野・東京都美術館で開催中の「トリノ・エジプト展」を観に行ってきました。混んでいることは、最初から予想できたのですが、案の定、館内は人で一杯でした。まあ、入館自体は並ぶことなく、すんなり入れたので、そこだけは良かったです。
展示室内は、人・人・人ばかりで、肝心の展示物の前も人だかりで、ちっとも観れず、とてもゆったりと過ごせる状況じゃない・・・。ああ、人口密度が少ない美術展の、優雅な一時とは程遠い・・・。まあ、とかく「エジプト」と名が付く美術展は、人気が集中するのは分かっていたから、仕方がないと納得はしていても、やっぱり混雑ぶりには辟易しますね。そんな自分も、その群集の一人なので、偉そうに文句など、到底言えないのですが。
それにしても、日本人は、「エジプト」展が好きなんだなと不思議に思います。横浜で開催されている「海のエジプト展」も大人気だし、テレビでも、「エジプト発掘」系の番組は、年に何度も、毎年の様に放映される(大体、同じ内容な)のに、そこそこ視聴率が取れるし・・・。う~ん、何でなんだろう笑。分かりやすいのか、ロマンがあるのか、未知なるものへの憧れなのか・・・。とにかく、日本人を惹き付けて止まない魅力が、エジプトにはあるのですね。
さて、トリノ・エジプト展ですが、新王国時代第18~19王朝のものが多かった様な気がしています。何と言っても、今回の目玉は、初の館外出品である「アメン神とツタンカーメン王の像」ですからね~。ツタンカーメンといえば、第18王朝の王!アメンホテップ4世によるアトン神の強制信仰という宗教改革の後、頑張ってアモン神信仰に戻そうとした王様ですからね!その像は、確かに、目玉出品です。実際、目の当たりにすると、意外に大きくて、興味深い美術品でした。
個人的に、気に入ったのは、第3章「祈りの軌跡」のコーナーに展示されていた、プトレマイオス朝時代の「ハヤブサ」「トキ」「ジャッカル」の小像ですね。それぞれに非常に愛らしさがあって、可愛いなあと思って見惚れてしまいました笑。他の観客は、違うものに集中していたので、一人で割とじっくり観ることが出来て、かなり満足でした笑。お土産コーナーに、フィギュアで3点セットで売ってたら、絶対に買ってしまいそう・・・と、自分で自分に危惧していたのですが爆、幸か不幸か、売ってませんでした。ミニチュアフィギュアが入ったガチャガチャも置いてなくて残念だ。もし置いてあったら、絶対、チャレンジしたのに笑。
今回の美術展ですが、普段にも増して楽しかったのは、新潮文庫から出ている「ロゼッタストーン解読」という本を、読んだことがあったからです。この本のお蔭で、歴史的な事象と、展示品とが頭の中で結び付いて、とても面白かった。
この本は、昨年読んだのですが、内容は、解読者とされるシャンポリオンを中心にした、ヒエログリフ解読競争物語です。これがですね、結構面白かったんですよ。私の中では、「ヒエログリフ解読」=「ロゼッタストーンの発見のお蔭」=「解読者はフランス人シャンポリオン」という公式が出来上がってしまっていて、如何にして、ヒエログリフが解読されたのか・・・までは知らなかったから、勉強になりました。実は、裏に熾烈な解読競争があったとは・・・!!
その競争の中で、フランスのエジプト総領事となった外交官でエジプト学者の「ベルナルディーノ・ドロヴェッティ」という人物が出てきます。彼は、自分がエジプトで集めたコレクションを、当時駐在していたイタリア・リヴォルノに運び込みます。その彼の死後、今度は、そのコレクションを、サヴォイア・サルディーニャ王家が買い取り、王家の都・「トリノ」に集めるのです。そのコレクションに解読にヒントがある為、シャンポリオンは、どうにかして、そのドロヴェッティ・コレクションが見たい・・・。でも、自分一人では見ることが出来ない。そこで、フランス・ブルボン王家に何とか繋いでもらう為に・・・という一件があるのです。
さて、ここまで前段を書いたら、聡明な読者の皆様はお気付きでしょう。何故、今回は、エジプトがテーマの美術展なのに、「トリノ」とイタリアの都市名が付くのか・・・。それは、今回の出品が、ドロヴェッティ所有のコレクションを中心とした、トリノ・エジプト美術館からの出品だから、なのです。いや~面白い。
トリノ・エジプト美術館は、1824年の開館だそうです。ヒエログリフ解読に欠かせないロゼッタストーンを発見したとされるナポレオンの、エジプト遠征は1798年。しかし、ナポレオンの失脚は1815年。だから、シャンポリオンは、トリノに行くために、1815年のウィーン会議で復活したブルボン家に何とか頼ろうとするのです・・・。
うん、最高に面白い。何が面白いかと言うと、こんな風に、自分が学んだ出来事と、目の前にある美術品が繋がることが面白いんです。この感覚が、堪らなく好きなんです。以前にも、ブログで書いたことがありますが、美術展で、美術品そのものを鑑賞することは勿論好きだけれど、やはり私は、それ以上に、その感覚を味わいたくて、美術館に行くのだと毎回思います。美術品を目の前にして、抱く感想は個々人の自由だけれど、私の頭の中は、そんな連想と鋭くなる感覚で一杯なんです。
そんな訳で、個人的には、非常に楽しい美術展でした。また、違う美術展に行きたいものです。今度は、何に行こうかなあ。


































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